誰も助けてはくれない:中国進出が招く「人質化」リスク コメント「ブレーキや安全システムがないまま経済進出」「私利を求め進出した者がいざとなれば政府の責任」「企業経営者は今一度危険性を考えるべき」


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誰も助けてはくれない:中国進出が招く「人質化」リスク
4/20(木) 6:01配信 WedgeONLINE Yahoo!ニュース

成果なき林外相の訪中

 はたせるかな、日本側は事件発覚直後に林芳正外相の訪中を急遽決定し、4月2日には中国外交の司令塔である王毅政治局員や秦剛外相と会談し、また李強首相を「表敬訪問」した。

 中国は、林外相の訪問を「日本が対中関係改善を望んでいるサイン」と対内的に宣伝し、また日本側には「虎(米国)の手先にならないという前提条件が、建設的・安定的な両国関係を構築するには必要」と釘を刺した。さらに中国側の発表では、林外相から「日中協力の促進に尽力し、脱中国化は採らない」との言質を引き出したとされ、得るべき成果をもぎ取った。

 一方で日本側と言えば、林外相は秦外相に対して会談冒頭で、邦人拘束に強く抗議した上で早期解放を要求したとされるが、中国側は「法に基づき処理する」と応じたのみで、何らの成果を得られないままとなった。当然ながら、中国は日本の要求など最初から受け入れるつもりもなく、また邦人を拘束した以上は自らの建前と面子を通す必要があり、今日まで当該社員解放の兆しは一向に見らない。

 動きがあるとすれば、6月に財界人を束ねて訪中予定の有力政治家に「土産」をもたせ、これによって日本の政界内「日中友好」派の威力を財界に再認識させるため、再び「駒」として利用する時であろう。


誰も助けてはくれない

 ある日突然として、何をしたのかも分からないまま拘束され、徒刑に処される。このような事態が突然として身に降りかかってくることは、中国在留邦人や旅行者にとって、今やまったく他人事ではない。しかし、このあからさまなカントリー・リスクがあるにもかかわらず、私利を求めて中国進出した者が、いざとなれば「邦人保護は政府の責任」などと言い出すのは、もはや甘えが過ぎるというものである。

 日本の企業や人々の多くは、「発展する中国」の雰囲気に呑まれ、最も基本的なことを忘却していた。それは中国という国が、日本や自由世界では当然であるはずの自由や法治の保証など皆無に等しい「異質な体制」の国であり、そのような環境に身体や資産を置くことは、重大なリスクを伴うという認識である。だが、その抜き難いカントリー・リスクを受容してまで中国で活動するのか否かは、もはや当該企業・人の判断であり、これを全面制止する権利は、皮肉なことに自由社会にある日本政府にはない。しかしこの結果、虎穴に入って虎児を得ようとし、逆に虎に喰われる者を助ける必要は、もはや日本の政府・国民にはない。

 もっとも実際、現在の日中の力関係では、日本政府にできることも無いに等しい。建前として「日本人の生命・財産の保護」がある以上、邦人の早期解放要求という空文言は唱えるが、これはいわゆる「遺憾砲」と揶揄されるものと同様に何の効果もない。これが日本国・日本人の置かれた今日の現実であり、もはや「誰も助けてはくれない」のである。


有事になればいつでも中国の手中に

 約16兆円強(2021年末時点)にも上る対中投資残高、10万人以上もの在留邦人は、もはや日本の安全保障にとって直接的なリスクである。仮に台湾有事や米中関係の悪化といった事態、さらには日中間の直接的な利害衝突が発生すれば、中国は随意にこれらのヒト・モノ・カネを「敵性」として拘束・接収できる。

 一方で、日本側は在留邦人や日系資産を盾に取られれば、政府は「国民の生命・財産の保護」を建前とする上、財界や世論の圧力に抗することも難しく、大局的判断の足かせとなる。中国はこの日本の弱い立場を見透かし、揺さぶりをかけるであろう。

 言い換えれば今日、緊張感なき対中投資・交流を継続・拡大することは、無自覚に日本の安全保障を損ねているといっても過言でない。このように言われることは、一部の企業や人々には心外であろう。しかし、もはや変化した国際環境と日中関係のなかでは、これが新たな現実である。そして将来の危機に直面したとしても、もはや日本政府は彼らを救える術を持っていないのである。

 「自らの身は自ら考えて守る」しかない。私たちは今一度、中国という幻想や甘言に惑わされることなく、その政治・社会の異質性という重大なカントリー・リスク、そして根本的な地政学的変化という現実を、緊張感をもって再認識しなければならない。そして、過大・依存的な日中経済という「惰性的な常識」の陥穽から脱し、対中進出・交流について根本的再考・英断をすべき時期に直面しているのである。

※本文内容は筆者の私見に基づくものであり、所属組織の見解を示すものではありません。

(一部抜粋)

全文は以下(WedgeONLINE)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30051

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コメント

>私利を求めて中国進出した者が、いざとなれば「邦人保護は政府の責任」などと言い出す
全般的に大いに賛同できる記事だ。
日本は自由世界の一員であり、日本国民が出国先として現状制限のない中国に行くことも自由だ。
インドに抜かれたとはいえ、14億人の人口を擁する中国の消費市場は魅力的であって、あわよくばその経済のおこぼれを狙おうと企業進出を判断するのも自由だろう。
だが、中国は一党独裁の政治体系であり、習皇帝の支配する専制国家であることをすっかり忘れている感がある。
少し方針を変更しただけで、どのようなとっばっちりを受けるのか読むことができる日本人は少ないだろうし、中国国民であっても時に圧政の被害にあっている現実を直視しながら、それでもなお中国へ向かおうとするのはまさに私利私欲と言っていい。
今後は中国国内でどんなことが起ころうと、すべて自己責任としてよいのではないか。


日本も早くスパイ防止法を制定しなくてはならない。そして日本でのスパイ行為を行った者は逮捕すべきである。そしてお互いが逮捕した人物の交換によって法人を助けなくてはならない。今のままでは法人を助けることはできない。日本のような甘い考えを持った国などないのである。他国では、スパイでなくともスパイとして逮捕することは出来てしまうのである。そのことを外交のカードとして使用するのである。日本もそのようなカードが使えるようにしなくてはならない。法人を助ける為にも急がなくてはならない。スパイ活動防止法制定に反対しているのは、左翼主義者の連中であるが、彼らは某国に頼まれているのである。日本もスパイを養成すると共に、法律も明確に整備しなくてはならない。それが世界の常識であり、国防の銃よな観点である。世界のどの国においても「国防」が最も重要であり、その上で国民の安全が保障され、幸福な生活が保障されるのである。


で、政府マスコミ等も「人質化」リスクを伝えず、中国進出を後押ししていたと…
罪深い話と思いません?
責任どうとる。
そもそも政府・企業共に有事の際の邦人救出等が法整備、技術、人材的に可能か疑問である。
イスラム国等でも邦人救出に迅速に自衛隊を活用出来ず、例えば有事に於いては武力を持っても保護したり、人質交換なりが出来る仕組みが日本にないと思う。
ただ懇願するだけ…
交渉するにしても有効なカードを幾つも持つべきでは?
結局、海外進出した場合、個人や企業責任にしかならず、国の救出も怪し状態でリスク管理も出来てないと思う。
今日日ブレーキやエアーバイクが付いてない車を買おうと思うか?
日本はブレーキや安全システムがないまま、いけいけで経済進出していたのでないか?


中國という共産党一党支配の国に、企業進出すれば利益が稼げるとばかりに無制限に出て行った企業には、自分でその企業を守る責任がある。企業経営者は今一度、現状の中国進出部門の危険性を考えるべきである。社員が恣意的な理由を付けた拘束に為すすべがないという事を理解しなければならない。こんな事態が続けば株主総会で現経営者に損害賠償の要求が出てくる事も予想される。中国進出企業は即刻撤退が中国政府に対する最大の抵抗作戦と心得るべきである。


先日中国で拘束され6年の刑を終え帰国した日本の方が居ましたが、今もって何故そのような事になったか、ハッキリと分からないとコメントしていました。この様なケースで日本政府が出来る事は全くありません。しかしマスコミはこの様な方々がどんな仕打ちを受けているのか、また公平な裁判が行われているのか、弁護士は付いているのか。小さい記事でも良いから、掲載し続けて下さい。繰り返し話題にする事により多少の抑止にもなるでしょう。
少なくとも毎日ガーシーの記事を掲載するより大事な事だと思います。それとも中国政府に配慮しているのですか。


以前から大企業中心に人口に伴った市場の魅力やインフラなどで中国への進出を果たした(或いは果たそうとしている)しかしながら…外への資産の持ち出し禁止や技術流出、最悪はこの様に社員を何の謂れなく人質に取られるというリスクを真剣に考えているのだろうか!?何でも政府が守ってくれる訳ではありません!都合よく頼らないで貰いたいと言うのが個人的な意見です!勿論、拘束された方の身体的精神的な苦痛を思うと居た堪れませんが…果たして、該当企業のトップは中国に乗り込んででも
「返せ」位の行動に出てくれるのでしょうか!?
社員は使い捨てでしょうか!?


およそ納得の記事。もはや日本は格下を自覚。身を守ることを自覚すべき。防衛力向上は近々必須。距離感ある外交が大事になるが、かなら厳しいし難しい。今の日本は金で負けてるし技術で負けてる。撤収も段階踏まないと中国に捕まりそうだ。


日本だけではない。西側諸国、台湾の人達が中国の国家安全局(所謂、公安)に拘束されてます。
一方で中国の地方財政は最悪の状態。先ず不動産収入が激減しており、ゼロコロナで出た負債を抱えたまま。22年末の債務は19年比65%増の35兆元。自治体によっては債務超過になる所も出てます。
この特効薬が外資系の誘致です。マクロンを異例の接待漬けでもてなしたのも、中国側からしたら欧州との投資協定をもう一度復活させたいという思惑があります。
当然、このような拘束事案が増えたら、企業は、行かない。投資なんかしない。
投資家からも従業員からも懸念がでれば、経営者はメリットがあろうが、リスクがある以上、投資は減少する。それが企業です。
中国は全くチグハグ。


日本の中国に意に沿わない政治的対応や都合の良い中国の政治的圧力に散々日本及び日本人は苦渋を一方的に飲まされてきたのに、未だに中国の幻想にとらわれ、安易な利益を求めて進出をしていることは、国家情報法、国防動員法、社内共産党支部設立義務化、反スパイ防止法などで全て企業機密が開示され、中国側に機微な機密が渡ってしまうことが明らかになっているのに何ら危機感を覚えていない企業家と政治家の現状、更に経済的繋がりで日本の立場を見透かして圧力をかけてくる狡猾な国、これらから脱却していくためには多くの障害と困難を受け入れ、同時に国防力の強化が必要ではないか。


素晴らしい記事だと思うけどWiLLや正論みたいな保守系記事扱いされておしまいだろうね
保守系論客は四半世紀前から反日が進んでいる中国が超大国化して日本を支配するようになると警告していたけどもう逆らうのは無理だろうな。
商売優先なんだから仕方ない、学校経営だって中国人留学生で助かっているし。
中国がしたたかで日本がボンクラだったし弱肉強食なら仕方ない。
中国が米国に挑んで負ける展開を利用するみたいな他力本願作戦が可能性あるかな


「このあからさまなカントリー・リスクがあるにもかかわらず、私利を求めて中国進出した者が、いざとなれば「邦人保護は政府の責任」などと言い出すのは、もはや甘えが過ぎるというものである。」
記事からは逸れますが、これ無人販売も同じだよね。
誰でも持っていける状態で商品を放置しておきながらいざ盗まれたら警察にって言うのも、最低限の防犯コストまでケチってそのぶん利幅を増やしたい、防犯は警察さんよろしくねって言う非常に身勝手な業態。
農家が規格外の野菜をただ同然でって頃は良かったけどチェーン展開にフランチャイズとまでなってくるとそろそろ何らかの法規制が必要な時期に来ていると思う。


https://news.yahoo.co.jp/articles/49ae9942263c824f79efa210ab4ad32ee5688c3b/comments

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