日本の防衛費は「対GDP比2%」へ倍増できるのか 安全保障戦略と経済・金融・財政の深い関係 コメント「日本は独自に主体性を持って自国の防衛を考えるべき」「防衛努力を怠り有事の際に助けを乞うだけでは誰も助けない」


Photo DDG-175「みょうこう」 出典:海上自衛隊HP 

日本の防衛費は「対GDP比2%」へ倍増できるのか/安全保障戦略と経済・金融・財政の深い関係
4/25(月) 6:32配信 東洋経済ONLINE Yahoo!ニュース

 ロシアのウクライナ侵攻は、わが国の安全保障論議にも大きな衝撃を与えている。今夏の参院選挙後にも佳境を迎えると見込まれる、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の「防衛戦略3文書」の策定に向けた動きも、活発になっている。

 わが国の防衛関係費は、2022年度当初予算で5兆3145億円である。自民党の安全保障調査会を中心に、目下GDP(国内総生産)比が1%程度である防衛費を、今後5年以内に2%以上へ引き上げるよう、政府に要請しようとしている。

■防衛費倍増の動きはNATOと関係

 防衛費の対GDP比を2%以上に引き上げるとは、どういうことか。それは、ウクライナ支援で結束しているNATO(北大西洋条約機構)の動きと関係がある。

 NATOは、ウクライナ侵攻やコロナ禍の前から、国防費の対GDP比2%目標を掲げていた。2014年のことだ。当時、NATO加盟国であるEU諸国において国防費対GDP比は、平均で1.19%だった。それが、2019年には1.53%に上がった。

 加えて、今般のウクライナ侵攻を受けて、欧州域内に戦場を抱えることとなった結果、国防費増額を表明するNATO加盟国が次々と出てきた。

 特に、強い印象を与えたのは、NATO加盟国のドイツとNATO非加盟国のスウェーデンである。ドイツは、健全財政路線を堅持しているが、2022年から国防費を対GDP比2%とすべく予算を組んだ。対GDP比でみると、2021年は1.49%だったところから2%にまで大幅に増額するという。

 そして、福祉国家として知られるスウェーデンも、国防費を対GDP比で2%にすることを表明した。スウェーデンは、2015年以降コロナ禍の前まで、財政収支を黒字にし続けていた。

 このように、欧州諸国で国防費を対GDP比2%に増額する動きがあって、日本でも防衛費を対GDP比で2%にするよう求める政治的要求が強まっている。日本もそうしないと、NATO加盟国から冷ややかに見られるとの意見も出ている。

 日本の防衛関係費は、NATO基準の国防費とは定義が異なるので、単純に比較することはできない。NATO基準の国防費には、退役軍人への恩給費、PKO(国連平和維持活動)関連経費、海上保安庁予算などの安全保障に関連する経費も含まれている。

 それを踏まえて、日本の予算でNATO基準に直して計算すると、2021年度の金額は約6.9兆円、対GDP比で1.24%程度となる。対GDP比2%は11.2兆円であるから、あと4.3兆円増やさなければならなくなる。

 国家予算で4.3兆円とは、どのぐらいの規模なのか。2022年度予算(一般会計と特別会計の純計)で、少子化対策費が4.4兆円、生活保護給付などに充てる生活扶助等社会福祉費が4.8兆円といったところである。それらの年間総額に匹敵するほどの規模の増額をしないと、対GDP比で2%には達しない。

 実はこれまで、防衛関係費は、財政健全化の犠牲になって削減されてきたのではなく、逆にその中でも優遇されて増えてきた。第3次安倍晋三内閣で、各歳出分野での予算編成方針を示す歳出の目安が「骨太方針2015」で設けられて以降、2022年度までの間に、防衛関係費は4000億円程度増えている。公共事業費は1000億円程度、文教及び科学振興費は640億円程度増えたが、それ以外の社会保障費以外の経費は、逆に合計して3000億円強減らされている。防衛費の増額は、ほかの経費の削減や効率化を行うことを通じて、実現してきた。

 対GDP比2%を実現するうえで、ほかの経費を減らしてでも防衛費を増やすという方針に、多くの国民が納得できるかが、問われよう。

全文は以下
https://news.yahoo.co.jp/articles/a61f021d48dc501942487afaf83fa2eb74bdd980

東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/584243

コメント

そもそもNATOの対GDP比2パーセント以上にするという西側諸国などの戦略や防衛費を比較するのではなく、日本が如何に主体性を持って自国の領土や財産、人命を守れるかの議論を積極的にしていかないと意味がない。
その上で対GDP比2%で防衛費を倍増するなり憲法の改正や核保有の有無など、適切な決定をすれば良いと思います。
なのに敵基地攻撃能力の名称を反撃能力に改称する議論など呑気にしてる場合でしょうか?
日本はNATOのような集団安保体制は構築されておらず、アメリカと同盟を結んでいても有事になった際、日本の為に戦ってくれるとは断言出来ません。
それは台湾を含む尖閣諸島や先島諸島周辺の沖縄などが戦火に巻き込まれてもです。
仮にアメリカが中、露、北などに同時に攻め込まれれば、尚更日本や台湾への支援などは難しい。
そのリスクや危険性がある前提で、日本は独自に主体性を持って自国の防衛を考えるべきです。


正直、2%は目安であって漠然と金を掛ければいい訳じゃない。内容が大事。防衛費の使い道や無駄などの検討議論をし、必要な兵器や開発、人件費へ適切にきちんと当てて欲しい。その上で2%になったのなら問題ないと思う。何でもそうだが、政府は血税で行われている事をきちんと認識して正しく使って欲しい。個人的には、防衛費の増額は賛成。核搭載の長距離・極音速ミサイルが世界の脅威になっている。日本は、核の配備は慎重に検討すべきだが、抑止力として、長距離・極音速ミサイルを中・露レベルまで高めていなかいといけないのではないだろうか?防衛費の増額に乗じて、自衛隊の人員総数の増員や、採用年齢の緩和も必要に応じて必要だと思う。私は、日本に置かれている状況は、非常に厳しいと危機感を抱いている。


日本の防衛費を対GDP比2%に引き上げても、質の悪い防衛策では意味はありません。有事の際の時いかに、日本単独で国民の人命や侵略国への、対処策などを検討しながら、必要な防衛費を使い日本をどの様にすれば守れるのか抑止力が重要です。例えば、日本のシェルターの普及率は0.02%です。かたや、スイス、イスラエルは100%。主力国から比較してもシェルターの普及率は、日本は無いに等しい。
これまで侵攻はされないであろうと言う考えが、この様な結果になっていますが、今回のウクライナ侵攻により、世界の防衛の考え方は大きく転換期を迎えたと思います。武器も必要ですが、同時に民間人が退避出来るシェルターの普及率を上げていく必要性もあるのではないでしょうか。日本の隣国は、中国・ロシア・北朝鮮と危険な国々です。抑止力が必要で、民間人が避難出来る様にしていかないと防衛は困難になります。


これ最も恐いのは
「我が国は検討の結果、防衛費は対GDP1%堅持、あるいは微増」
となって対GDP費で2%に達しなかった場合です。なぜならもしそうなった時、日本はアメリカやNATO等の西側諸国からは
「自国の経済のみを優先して自国の防衛努力を怠る国である」
と言う風に映るからです。この場合、日本が他国から攻撃を受けた時に
「防衛努力を怠る国にリスクや不利益を承知で支援する事はしない」
と判断され、日米安保があったとしてもアメリカの日本防衛への関与が限定的になる可能性がある。この状況ではNATOも日本支援には及び腰になるでしょう。
今、ウクライナに西側諸国が経済、軍事両面でリスクや不利益を承知で支援しているのはウクライナが自国防衛の為に血を流して戦っているからです。
防衛努力を怠り、有事の際に助けを乞うだけでは誰も助けないでしょう。


日本の領土領海を守り、日本人の生命と尊厳を守るのは、本来、国家の最優先事項です。
反面、各省庁の最優先事項はその省庁の利権を守ることになってるようです。
ちなみに、外務省の最優先事項は、赴任した大使が、赴任先国家から気に入られることが最優先だそうです。そのため、赴任先からの評価のウエイトが高く、自国の尊厳は二の次で、他国に忖度する阿り外交が明らかです。
防衛省の場合、予算の倍増では足りず、自衛官の給与の増額と手当も同時に論議するべきです。防衛の質を高めるのは、国を守る意思を明確にする気概を国民が持つことであり、その担当人員に対して、国として尊敬が集まるような予算と位置づけが大切だと思います。


メッセージが重要という意味では?
数字を示す事で、日本の覚悟が伝わる。それが抑止力に繋がる。
防衛予算GDP比2%は、そもそも昨年秋の衆院選の自民党の公約でした。
後退した印象を見せるのはマイナスのでは?
この記事では財政再建とセットで行えとの提言ですが、その前に政府は本格的な構造改革に取り組んで、働き方の無駄を無くしてほしい。増税の前にやるべき事があると主張したい。
数字有りきに苦言を呈する防衛大臣経験者がメンバーの中、安全保障調査会会長の小野寺元防衛大臣が苦心して
「5年以内に2%」の提言をまとめたのは良かったと個人的に思う。
安倍元首相としては「結論は同じなのだから曖昧な表現でなく、ストレートに記述した方がいい」とする立場。
誰が間違っている訳でなく、どれも正論。政治は総合判断なので、専門家と違っていいように思う。


2%ありきと言うのは間違いだろう
大事なのは必要な部分に必要なだけ投資出来ているかということ
足りるなら1%でいいし不足なら3%も検討すべき
そのうえで仮想敵国をどこに設定するかが大事
北朝鮮が相手なら驚異になるのはICBMぐらいだから早期発見、迎撃を重視すればいいだろうが相手を中国と想定するならばそれに加えて海上、海中戦力での戦いも想定しなければならない
更に進めるとICBMを撃ってくる北朝鮮に対しての「反撃戦力」をどうするかも考えなければならない
同盟を組んでいる米軍を主軸に補助に回る形を継続するのか日本単独でも動けるような形にするのかしっかりと未来を見据えて行動をしていくべき


ウクライナは欧州の中でも一人当たりGDPで51カ国中47位という、最貧国といっても良いぐらい経済が悪かった。2021年の国防予算は約7000億円。しかし、今回のロシアの侵攻により戦場となってしまい復興に77兆円必要というウクライナの試算を先日明らかにした。
平時の財政バランスはとても重要で、他の予算とのバランスも取る必要があるが、抑止力は相対的な軍事力で決まるので近隣の大国とのバランスも取る必要がある。純粋に国内だけの都合で決められないのが防衛力になる。
戦争になってしまえば、平時の防衛予算とは桁違いの経済的・人的損失がでる。場当たり的に防衛費を上げても、装備や人員が揃うのは10年後。中長期的な視点で抑止力を高める効率的な防衛予算と、戦争を回避できる外交力を発揮しなければならない。


そもそも今の防衛費の8割強は隊員の人件費で残りが装備だったり弾薬だったりするし、足りない日用品は隊員の自腹、という話もある。
要は毎年1兆円程度の予算で現有装備を補修したり、新規装備を調達したり、調達した装備の分割払いを行っているわけで、GDP1%枠のままであれば、周辺国との差は開くばかりだと思う。
周辺国との差はともかくとして、少なくとも、隊員の日用品や食料に関しては過不足なく充足していることが望ましいし、弾薬に関しては有事に備えるならもっと予備が必要だろうし。
確かに一足飛びには2%は難しいのだろうが、自衛隊の運営に支障が出ないように装備を整える、という意味で実際に必要な経費がどのくらいになるのか、という事は計算しておいた方がいいと思う。


NATOが増やしているから、こちらも増やしていかないと冷ややかな目で見られるので、追随する様にしていかないと不味いと考えている姿勢こそが間違っている。
そもそもNATO加盟国とこちらでは、置かれた状況がまるで違う。向こうはロシアという凶暴国家を間近に抱えているとは言え、逆に言えばその一国だけに気を使っていればいい。
しかし私達は地理的な前提条件からして全然異なる。ロシアの他、中国や北朝鮮を海を隔てているとは言え隣国として3か国にもなり、NATOにも増して防衛態勢を強化する必要が有る。
記事では予算の制約がとやたら喧しく指摘しているが、今は事実上の有事であるとの認識は有るだろうか?
有事の際は、財務省関係者が国防予算を議論する会議に参加させない方針を持つ国も有る。国のあらゆる営みも安全が保障されている中でこそ可能。
それを担保する為の会議に予算の節約を訴える役人や大臣が居たら、障害物になる。


GDPの2%とかではなくて、金額で決めてほしい。国によってGDPはちがうから、同じ2%でも国によって全く違う金額だ。
確かに今のままでは良くないと思う。国防とは兵器だけなのか?違うのは分かる人のが多いと思う。セキュリティにしても、資源とか物資にしてもエネルギー対策にしてもだ。
日本はどこかに何かを止められたら、立ち行かなくなる。そこもよく考えなければいけない。
兵器をよく言う人もいるが、最新の兵器を適正な価格で、買えたらいいのだが、型遅れの兵器を高額で買わされて、それで費用が足りないだとかはやめてほしい。
軍需産業が盛んな国の為に上げるのだけはやめてほしい。本当の国防なら、出来れば国産がほしいところだ。
これからはテロ組織でも持てる安価なドローン兵器が主流になってきているので、対策しなければならない。


GDP比率も重要だろうが
日本の防衛に取りどういう装備が必要か
そしてそれを適格に運用できる必要人員を
まず先に検討し予算を作成するべきだと思う
中長距離ミサイル及びシステム、弾薬の在庫積み増し、自衛隊員の定員の充足
待遇改善による優秀な人材確保、装備の充実、核開発の可否の早急な国会審議等により
早急な予算組をするべきだ
そして必要なら2%にとらわれず臨時的な予算組も必要と思う
それとロシア、中国、北朝鮮との関係も決定的に悪化しないよう注意をする事も
難しいが必要な事と思う


https://news.yahoo.co.jp/articles/a61f021d48dc501942487afaf83fa2eb74bdd980/comments

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