中国で吸い取られる個人情報、案の定のザル管理 ネット「中国共産党への危機感のなさはLINEだけではない」

写真はイメージです/Pixabay/JBpress

中国で吸い取られる個人情報、案の定のザル管理
3/18(木) 6:01配信 JBpress Yahoo!ニュース

(一部抜粋)

 (福島 香織:ジャーナリスト)

■ 本当に怖いのは中国共産党による個人情報収集

 こうした個人情報の違法収集、漏洩、乱用の問題が今、CCTVやその他のメディアで大きく取り上げられているのは、中国で目下、個人情報保護に関する法整備が進んでいることと関係している。

 2021年1月1日に中国初の民法典が正式に実施され、プライバシー権と個人所法保護の専門章の中で、人格権が初めて規定された。また、個人情報の定義が、名前、生年月日、身分証明番号、生体情報、住所、電話番号、メールアドレス、健康情報、移動追跡情報などを含めて、特定の個人を識別するために、単独あるいは他の情報と組み合わせて、電子的に、あるいはその他方法で記録される情報、と明確にされた。さらに個人情報が侵害された場合の法的救済法を示す個人情報保護法がまもなく制定される。

 全人代常務委員会に提出され審議中の「個人情報保護法草案」は、ネット上のパーソナライズされたポップアップ広告などを規制したり、個人が所有した画像や個人の身分が特定できるような情報を、公共安全維持のために必要とされる場合を除いて他人に公開することを禁止する条項が含まれる予定だ。

 さらにこの個人情報保護法草案は、企業の関連の違法行為に関して5000万元以下、あるいは1年の売り上げ額の5%以下の罰金を科すなど、比較的厳しい処罰を盛り込んでいる。違法行為のコストを上げることで公民の情報安全を守ることができる、という。

 だが、私がここで言いたいのは、中国でも個人情報保護に関する法整備が今後進んでリスクが軽減するであろう、ということではない。本当に怖いのは、企業による個人情報の違法収集や漏洩、悪用ではないのではないか、ということだ。

 今、世界で最も大量の個人情報ビッグデータを持っているのが中国共産党であることは間違いない。どこの国でも、政府がその国の国民の個人情報を大量に掌握している、というのは当たり前といえば当たり前だ。だが、2010年ごろからテスト運用が始まり、すでに主要都市を網羅している最大の顔認識AI付き監視カメラネットワーク「天網工程」(スカイネット)や農村監視システム「雪亮工程」のように、顔の識別、一部地域では声紋や指紋、歩様までを個人情報と結びつけて収集し、さらには銀行口座、ネットショッピングの履歴、移動パターンまでも解析したビッグデータを蓄積しているとなると、また話が別だろう。

 スカイネットも雪亮工程も、建前は犯罪の摘発、治安維持など地域市民の安全のために作られたネットワークであり、実際、これらシステムによる犯罪摘発や予防の効果が喧伝されている。だが、たとえば新疆ウイグル自治区などでは、ウイグル人の共産党に対する服従、忠誠を強制し、監視するシステムになっており、恐怖政治の道具の1つとなっていることは、私自身現地で見聞きしてきた。

 CCTVの315晩会は、中国の民営企業、外資企業が顔認証システムなどで大量に個人情報を収集していることを暴き、それを詐欺などに悪用されることを警告するが、こうした企業のデータは民営国営にかかわらず、中国共産党にも提供される。しかも、それをイデオロギー統制、情報統制に利用し、常に監視されている恐怖を人民に与えることにより、共産党に服従させるために利用しても、誰も告発できない。どちらの方が恐ろしいかといえば、私は後者だと考えている。

 さらにいえば、個人情報を守るためという建前でつくられる個人情報保護法は、むしろデータ統制を強化する側面の方が強いのではないか。草案では、中国市場に進出した外国企業が、中国人の顧客データを集めた場合、その管理は国内のサーバーに置かなくてはならず、持ち出す場合は厳しい安全評価審査を受けなくてはならない、という。

 情報というものが、軍事や金融と並んで国家の主要パワーとなることはすでに多くの人々の認識の一致するところだ。SNSや様々な決済アプリの普及で、信じられない密度の個人情報がインターネット経由でビッグデータとして蓄積され、解析されるようになると、それをより多く掌握する者がより強いパワーを持つ。企業がそれを持てば企業のビジネスに活用されるが、国家がそれを持てば国家のガバナンスに活用される。その国家が全体主義であり、異なるイデオロギーを許さないような独裁国家であれば、異見分子の排除や世論誘導に利用されることになる。

 個人情報を独裁統治に利用する中国特有の怖さと、顔識別情報から虹彩、指紋、声紋から決済情報にいたるまでの詳細な情報収集の実態、その一方でけっこうずさんな情報漏洩ぶりを合わせて考えると、中国企業の商品や決済、SNSサービスを利用し個人情報を登録すること、まして中国企業に顧客データ処理などを外注するリスクもリアルに想像できるのではないだろうか。


JBpress
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64543



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アングル:中国の外国企業、共産党の「内部介入」を懸念(2017年、REUTERS)


コメント

中国共産党への危機感のなさはLINEだけではないような気がします。これを機会に日本企業のトップたちには中国共産党に対する認識を改めて欲しいが、企業経営者は目先の利益にしか関心がないから、すぐに変わることはないだろうね。


中国共産党は、現代のナチスと言っても過言ではなく、民主主義に対する最大の脅威であり、常に敵性勢力で有ることを忘れてはならない!


中国の場合、技術にシステムや法が追いつかない、というよりは初めから悪意を持って行われてる気がする。写真付き個人情報は高く売れ、悪意を持って使われる。人民は監視社会で犯罪減ったって喜んでいるが、とんでもなしっぺ返しになりそう。


中国系企業に情報関連の業務委託をしたのが最大の失敗
すべきことは中国系企業に業務、資産等を預けないこと
経済的孤立政策をとって干上がらせないと


全く信頼性の無い国のSNSを 全く信頼性の無い国に管理を依頼した結果です。
この二つの国が関与するもの総てを信頼してはいけない。


ガス、電気、等は15年以上前から使用量の個人情報が中国には漏れ放題かもな、日本の企業トップは右へ習え方式で責任回避出来ると思っているレベルだぞ。


この国はIT技術でさえも悪用し人民の支配を企んでいますね。

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